DNソリューションズ、CNCを統合した積層造形プラットフォームを防衛企業LDASに納入

4月 21, 2026

DN Solutions CEO Kim Won-jong (left) and LDAS CEO Lee Geun (right) pose in front of the DLX 325D additive manufacturing machine at SIMTOS, held at KINTEX in Goyang, Gyeonggi-do, on April 14, 2026. Courtesy of DN Solutions

韓国の工作機械メーカーDNソリューションズは、国内防衛企業LDAS(エルダス)に対し、積層造形とCNC加工を融合した統合製造プラットフォーム「AM2CNC」および後工程用切削装備を供給する契約を締結した。防衛分野における同社の製造ソリューション提供能力を示す重要な一歩となる。

写真:DN SolutionsのキムウォンジョンCEO(左)とLDASのイグンCEO(右)が、2026年4月14日に京畿道高陽市KINTEXで開催されたソウル国際生産製造技術展(SIMTOS)の会場で、積層加工装備DLX 325Dの前で記念撮影している。Courtesy of DN Solutions

DNソリューションズとLDASの契約内容

DNソリューションズは2026年4月14日、京畿道高陽市のKINTEXで開催されたソウル国際生産製造技術展(SIMTOS)の会場において、防衛企業LDASとの間で積層造形装備「DLX 325D」および後工程用切削装備を供給する契約を締結。4月17日に正式発表した。LDASは京畿道に拠点を置き、個人火器の精密部品・システムをはじめ、航空機・自律型システム・戦闘車両向けの組立部品を開発・製作する企業だ。今回の装備導入により、LDASは試作品製作と量産対応の両面で能力強化を図る。

DNソリューションズ関係者は「今回の協力は、防衛分野の顧客が求める精度・生産性・工程安定性に対応できる統合製造ソリューションを提供したという点で意義が大きい」と述べた。LDASの関係者も「今回の装備導入は、製品開発リードタイムの短縮と工程高度化において重要な転換点になる」とコメントしている。

DNソリューションズとは

DNソリューションズは工作機械のグローバル3位、国内1位のメーカーで、切削加工機械から積層造形装備まで幅広い製造ソリューションを提供する。近年はグローバルな積層造形分野への展開を加速しており、2026年3月にはドイツ・ギュータースローに「積層製造ソリューションセンター(ASC)」を開設した。約1,000㎡規模の同センターには金属積層製造装備DLXシリーズをはじめ、複合機DNXシリーズ、5軸加工機DVFシリーズなどが展示され、教育・実演からターンキープロジェクトまで幅広い技術支援を提供している。また2026年1月にはドイツの工作機械メーカーHeller Groupの買収を完了し、100年以上の歴史を持つHellerの加工センター技術を取り込むことで製品ラインナップをさらに強化している。

AM2CNCプラットフォームとは

AM2CNCは、金属3Dプリント(積層造形)とCNC精密加工を一つのプラットフォームに統合したDNソリューションズ独自のシステムだ。従来の製造プロセスでは、積層造形で部品を造形した後、別工程でCNC加工による仕上げを行う必要があった。AM2CNCはこの二つの工程を連続して行うことができ、工程間の引き渡しによる時間的ロスや品質のばらつきを抑える。

積層造形は複雑形状の造形に優れる一方、表面精度や寸法精度の面では単独での使用に限界がある。AM2CNCはそのギャップをCNC精密加工で補うことで、試作品にとどまらない、実際の運用に耐える高精度な部品の製造を可能にしている。防衛分野で特に求められる高精度・高い生産性・工程の安定性を一貫して確保できる点が最大の特長だ。

防衛分野における積層造形の活用

積層造形技術は近年、防衛産業において急速に普及しつつある。従来の切削加工では困難だった複雑形状の部品製造が可能になるほか、金型不要で少量多品種生産に対応できるため、試作から量産までのリードタイムを大幅に短縮できる。また、サプライチェーンの途絶リスクにも柔軟に対応できることから、各国の防衛調達において戦略的な製造技術として位置づけられるようになっている。

AM Insight Asia の視点

防衛分野における積層造形の活用は、欧米だけでなくアジアでも急速に広がりを見せている。シンガポール軍(SAF)は早くから積層造形能力の開発に着手し、潜水艦部品や自社設計ドローンなど実際の軍事用途への活用を進めている。中国のPLA(人民解放軍)はさらに踏み込んでおり、戦闘機の製造から艦艇での洋上部品製造、前線での部品製造とドローン配送を組み合わせた実戦的な運用演習まで実施している。韓国も今回のDNソリューションズとLDASの事例が示すように、民間の工作機械メーカーと防衛企業が連携する形で着実に技術導入を進めている。

一方、日本をはじめ一部のアジア諸国では防衛分野でのAM活用は依然として限定的だ。積層造形への対応が進む国と遅れる国との間で、防衛製造における技術格差はすでに広がり始めている。

こうした動きに拍車をかけているのが、米国の2026年度NDAA(国家防衛授権法)だ。同法のSection 849は、中国・ロシア・イラン・北朝鮮に関連するメーカーが製造した積層造形装備の国防省による調達・使用を禁止しており、積層造形が安全保障上の重要インフラとして正式に位置づけられたことを意味する。こうした規制の流れは米国にとどまらず、各国の防衛調達においても波及する可能性がある。防衛分野でのAM活用が進む中、機器の選定において自国製あるいは同盟国製のソリューションを優先する動きが今後強まっていくかもしれない。DNソリューションズのような韓国発の統合製造プラットフォームが、そうした需要の受け皿となり得る存在として注目される。

今回のDNソリューションズとLDASの契約が示す通り、防衛製造の現場ではAM単独での活用にとどまらず、CNC加工と組み合わせたハイブリッドアプローチが主流になりつつある。積層造形は複雑形状の造形や材料の効率的な活用に強みを持つが、防衛部品に求められる厳格な寸法精度や表面品質を単独で満たすことは難しい。CNC加工と組み合わせることで初めて、実際の運用環境に耐える部品の製造が現実のものとなる。アジアの防衛製造サプライチェーンにおいて、こうした統合ソリューションを提供できるメーカーの存在感は、今後さらに高まっていくだろう。