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国産ドローン量産化へ:日本は80倍の生産拡大を実現できるか

1月 7, 2026

Japan commits to domestic drone production. How to achieve 80-fold expansion from current 1,000 to 80,000 units?

経済安保の切り札か、実現可能な目標か

日本政府は経済安全保障推進法に基づき、ドローンを特定重要物資に追加指定し、国産化支援に乗り出した。研究開発や設備投資に必要な費用の最大50%を助成し、2030年時点で年間8万台の国産ドローン生産体制整備を目指す。経済産業省が2025年度内にも公募を開始する予定だ。

支援対象は消防などの災害用、橋や道路などのインフラ点検、農薬散布など農業分野で使われるドローンを想定している。機体だけでなく、モーターや電池など主要部品の生産設備も対象に含める方針だ。

H2: 現状と課題:国産ドローン80倍への生産拡大という壁

日本産業用無人航空機工業会が加盟73社に実施した調査では、2024年の国内生産は年間計約1,000台程度にとどまる。一方、航空法に基づき国に登録された100グラム以上の無人航空機は、2025年3月末時点で44.7万台と、登録制度が始まった2022年6月(21.3万台)から倍増している。

供給の9割以上を中国メーカーが占める現状から、年間8万台の国内生産体制へ。これは国産ドローン生産の80倍拡大を意味する。

現状と課題:国産ドローン80倍への生産拡大という壁

日本産業用無人航空機工業会が加盟73社に実施した調査では、2024年の国内生産は年間計約1,000台程度にとどまる。一方、航空法に基づき国に登録された100グラム以上の無人航空機は、2025年3月末時点で44.7万台と、登録制度が始まった2022年6月(21.3万台)から倍増している。

供給の9割以上を中国メーカーが占める現状から、年間8万台の国内生産体制へ。これは国産ドローン生産の80倍拡大を意味する。

Anduril事例:LFAM技術で開発期間を3分の1に短縮

2025年12月、企業価値470億ドルの米防衛テック企業Anduril Industriesが日本法人を設立し、100%日本製部品のドローン「キズナ」開発を発表した。同社は2022年にボストンのDive Technologiesを買収し、大判積層造形(LFAM)技術を獲得している。

この技術は水中ドローンGhost Sharkプログラムで実証済みだ。オーストラリア海軍向けのGhost Shark開発では、LFAM技術により圧力に耐える複合材外殻を週単位で製造可能となった。従来の防衛装備品調達では10年以上かかる開発期間を3年未満に短縮し、2025年にオーストラリア国防省から17億豪ドル(11.2億米ドル)の正式契約を獲得。プロトタイプは予定より1年早く、予算内で完成している。

Ghost Sharkの成功要因は、Dive TechnologiesのLFAMベース製造とAndurilの自律ソフトウェアの統合にある。コンセプトから生産まで3年未満で移行を実現した。これは従来の防衛調達プロセスとは鋭い対照をなす。

LFAMの主な技術的優位性は、複雑形状の一体成形による部品点数削減、設計変更の柔軟性、モジュール設計による量産体制構築、そして従来の鋼やチタン製圧力殻と比較した大幅なコスト削減にある。

AM Insight Asiaの視点

政府の助成プログラムは機体メーカーだけでなく、主要部品の生産設備も対象とする。AM関連企業にとって、高耐熱材料やカーボンファイバー複合材の供給、大判造形装置の提供など、複数の参入機会が存在する。

しかし問題は、「AM技術を国産ドローン生産に活用できる」という一般論ではない。年間8万台の量産体制に適した材料は何か。量産に見合ったコストパフォーマンスを持つ機器は存在するか。最も重要なのは、Andurilがシドニーに構築したような大規模製造ファームが、日本には存在しないことだ。

Andurilはオーストラリアに専用製造施設を建設し、複数のサプライヤーと連携して量産体制を確立した。対して日本は、年間1,000台から8万台への80倍拡大を目指しながら、その製造体制の具体的な姿がまだ見えない。

経産省の公募は今年度内に始まる。ドローンメーカーが申請を検討する中、AM関連企業は「量産に最適化された材料」「優れたコストパフォーマンスの装置」「大規模生産を支援する製造システム」を提案できるか。

AM業界はこれまで、こうした機会にタイムリーに対応できなかった歴史がある。試作や少量生産の実績は豊富でも、年間数万台の生産を提案するのは全く別の話だ。この壁を越えられるかどうかが、国産ドローン量産という巨大市場への参入を左右する。

技術的可能性を議論する段階は終わった。今求められているのは、現実的な量産体制に向けた具体的なソリューションだ。