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Formnext Asia Shenzhen開催直前、主催者独占インタビュー 1/2 市場・戦略編

7月 29, 2026

Formnext Asia Shenzhen 2026: An Exclusive Interview with the Organiser Ahead of the Show (Part 1) | Image: AM Insight Asia

Formnext Asia Shenzhenとは何か?今グレーターベイエリアで何が起こっているのか

Formnext Asia Shenzhen 2026の開幕を目前に控え、AM Insight Asiaは主催者であるGuangzhou Guangya Messe Frankfurt Co Ltdの副総経理、Louis Leung氏に独占インタビューを行った。前編となる本稿では、Formnext Asia Shenzhenがフランクフルト本家とどう役割を分担しているのか、そしてなぜ深セン・グレーターベイエリアという地域がこの展示会にとって欠かせない土台となっているのかを聞いた。なお、以下の回答部分は、恣意的な解釈を加えることなく、Louis氏の言葉をそのまま掲載している。

Q. Formnext Asia Shenzhenは、アジアのAM業界の中でどのような役割を果たしていますか。フランクフルトのFormnextとはどう違い、どう補完し合っていますか。

Formnext Asia ShenzhenはFormnextファミリーの一員なので、基本的なアプローチはフランクフルトと同じです。私たちはAM(積層造形)を、材料・機器・ソフトウェアだけでなく、後処理・検査・サービスまで含めた「バリューチェーン全体のプロセス」として提示しています。これらが揃って初めて、AMは生産技術として成立するからです。

このコミュニティのほとんどの人がフランクフルトのFormnextをよく知っています。フランクフルトの展示会は業界最大の国際的な集いの場であり、グローバルなフラッグシップです。企業に世界的な舞台を提供すると同時に、AM技術と市場が向かう先を俯瞰する場でもあります。

Formnext Asia Shenzhenでも同じフルバリューチェーンのアプローチを採用していますが、それを全く異なる市場環境の中で展開しています。ここ華南地域には、電子機器、金型、履物、消費財、ハードウェア、自動車部品、ロボティクスといった主要産業が集積しており、これらのAMユーザー産業が身近にあることが、来場者層とアプリケーションの焦点を自然に形作っています。

深センはまた、AMの特定分野、特にデスクトップ・コンシューマー向け分野において、主要なサプライヤー拠点にもなっています。地場企業がグローバルなエントリーレベル・デスクトップ3Dプリンター市場の94%を占め、プリントファームやプロトタイピング用途を支えています。これにより、本展はサプライヤー・ユーザー産業・アプリケーションのトピックという厚みのある基盤を持つことができています。

その意味で、フランクフルトは業界にとって将来を見通すグローバルな基準点を提供し、深センは企業にアジアで発展しているAM市場とアプリケーションへのより直接的な接点を提供しています。私たちはこの展示会を、地域企業が国内市場での地位を伸ばし、そこから国際的な機会を模索していくための「産業インキュベーター」のような存在とも捉えています。つまり両展示会は異なる文脈から業界にアプローチしていますが、どちらもグローバルな業界発展に貢献しているのです。

Q. 深センがこの展示会にふさわしい開催地である理由は何ですか。華南地域が、アジアの他の都市や地域にはない何を提供していますか。

先ほど述べた通り、深セン周辺の産業基盤が主な理由の一つです。深センはすでに、先端技術とハードウェア製造における強い国際的評価を確立しています。来場者が深センと聞いて思い浮かべるのは、DJI、Huawei、BYDといった企業、AM分野ではCreality、Elegoo、Bambu Labなどでしょう。ここに発展してきた技術環境については、すでに一定の理解が浸透しています。

深センの産業は、AMアプリケーションが発展している主要分野とも密接に対応しています。医療機器はその分かりやすい例の一つで、深センの医療機器輸出額は全国1位の人民元298.6億元(約44.1億米ドル、日本円で約7,224億円相当)です。低高度経済(ロー・アルティチュード・エコノミー)の分野では、深セン製ドローンが世界の民生用市場の約70%を占め、さらにBYDなどを通じて新エネルギー車産業も非常に強い。

これらの産業に共通するのは、いずれも製品サイクルが速く、軽量化、専用部品、開発期間の短縮といったAMの強みを活かせるエンジニアリング業務を継続的に必要とする高度技術セクターであるということです。これが自然とAMを議論の俎上に載せる要因になっています。

ただ、深センについて語る際は、通常、広東・香港・マカオ大湾区(グレーターベイエリア、GBA)という文脈で捉えています。周辺の広域圏を含めて考えたときの方が、深センの優位性ははるかに際立つからです。GBAは中国GDPの約9分の1を生み出しており、すでに国内で最も経済的に重要な地域の一つです。

さらに、これは深センがインフラ、サプライチェーン、政策協調を通じて、華南の他の主要製造業都市と密接に統合されていることも意味します。

深センは技術・研究開発に強みを持ちますが、その周辺には自動車・バイオメディシン・貿易に強い広州、電子機器製造・部品・工具に強い東莞、ロボティクスと設備製造に強い仏山、そして貿易・金融・専門サービスの国際的な玄関口である香港があります。

本展にとって、これは非常に密度が高く発展した産業エコシステムを意味します。深セン周辺には、AMの恩恵を受けられる製造業ユーザー、その導入を支える材料・機器サプライヤー、金型パートナー、研究機関、そして世界市場とつながる国際的な結節点があり、その多くが大湾区の「2時間サプライ圏」の中に収まっています。

Q. 2025年開催では来場者数が78%増加し、国際来場者数も2年連続で倍増しました。この成長をどう説明しますか。また2026年に向けてどう発展させていく予定ですか。

この成長は、いくつかの要因が積み重なった結果だと考えています。中には随分昔にさかのぼるものもあります。

実は、私たちのAM業界への関わりはFormnext Asia Shenzhenより前にさかのぼり、2015年に金型展示会Asiamold(現在のAsiamold Select – Guangzhou)でAMを製品カテゴリーとして初めて取り上げたときに始まっています。

これにより、AM企業や業界団体との早期からのつながりに加え、金型・工具その他の産業用途でAMに注目し始めていた製造業の来場者ともつながりを持つことができました。そのため、Formnext Asia Shenzhenを立ち上げた時点で、すでに強固な基盤がありました。

当時、この地域市場はまだAMについて学び、その産業応用を理解する機会をより多く必要としていました。フリンジプログラム(本展併催のセミナー・フォーラム企画)を通じて地元製造業者の認知度を高めるために多くの労力を注ぎ、業界に地元市場に近い定期的なプラットフォームを提供すると同時に、Formnextファミリーの中での立ち位置を活かして国際的なAMリソースを華南に呼び込みました。そうして時間をかけて、本展への強い地元の支持が築かれていきました。

そこから、影響力のある業界団体、グローバルなAMメディア、専門家ネットワークとの協力を通じて、来場者層を対外的にも広げていきました。Messe Frankfurtのグローバルネットワークとフォームネクスト・ファミリーの一員として、Formnextを中心にすでに確立されているチャネルや関係性を通じて国際的なAM専門家にリーチすることもできるようになり、2025年までにFormnext Asia Shenzhenは、私たちが10年近くかけて築いてきたAMのオーディエンスと業界ネットワークの恩恵を受けるようになっていました。

私たちを取り巻く市場自体も大きく変化しました。中国のAM企業に対する国際的な見方は、数年前と比べて大きく異なります。多くの中国AM企業が国際的に技術競争力があると認められるようになり、海外の来場者はこの市場をより高い関心を持って見るようになっています。

2026年に向けては、この関心をより意図的に発展させていくつもりです。海外来場者向けの新しい参加形式、フリンジプログラムでの言語サポートの拡充、会期中に出展者や業界パートナーとつながるためのより体系的な機会などが含まれます。同時に、来場者にとって最も重要なアプリケーション、機会、事業ニーズを軸にプログラムを更新し続けます。

Q. 世界にはRAPID+TCT(米国)やTCT Asia(上海)など、すでに確立されたAMトレードフェアがいくつも存在します。Formnext Asia Shenzhenが差別化している点は何ですか。

どのトレードショーも、それが仕える市場によって形作られるものです。

Formnext Asia Shenzhenが独自である理由は、Formnextファミリーが持つ「産業用AM導入の推進」という焦点を継承しつつ、それを世界有数の製造業拠点であり、同時にアジアで最も重要な技術・研究・イノベーションの中心地の一つでもある地域に落とし込んでいる点にあります。

この大湾区から、私たちは3C電子機器、新エネルギー、ロボティクスといったセクターの製造業者を含むオーディエンスに応えています。これらの産業は、その規模、集積度、そしてこの地域特有の組み合わせ方において非常に際立っており、AM導入への強い動機を持つ産業から成る、非常にユニークなオーディエンス層を引き寄せています。

Messe Frankfurtのグローバルな「Manufacturing Technologies & Components」ポートフォリオの一員であることで、私たちはグループの業界知識、国際的な関係性、そして180以上の国・地域をカバーする販売網を活用できます。フランクフルトのFormnextとのつながりを通じて、現地の同僚と緊密に連携し、両市場にまたがって出展者を支援し、より多くの国際バイヤーの深セン来場を促すこともできます。

つまり、まさにここに違いがあります。私たちはこの広範なグローバルネットワークを活用しながら、現地の市場環境やアジア特有の業界ニーズにも柔軟に対応できるのです。

Q. 今後3〜5年で、Formnext Asia Shenzhenはどのような姿になっているとお考えですか。どのような展示会を築こうとしていますか。

私たちにとって、今後3〜5年は、Formnext Asia Shenzhenがアジアの製造業におけるAMの全領域を代表するプラットフォームとしての役割を固めていく期間になります。これは、展示される技術の多様性だけの話ではありません。本展には、新製品の市場投入を後押しし、業界人材を育成し、産業・学術・政府の間の中心的な交流点を提供するという、より広い役割もあります。

展示会主催者として、私たちは長年の産業トレードフェアの背景を持っており、本展が成長を続ける中でもこの視点、すなわち常に産業中心で、アプリケーションに焦点を当て、あらゆる規模のアジアの製造業者が今日、そして将来にわたってAMを機能させるために何を必要としているかにしっかりと根ざす姿勢を貫いていきます。

その一つの側面が、この技術にまだ新しい製造業者にとっての産業用AM導入のハードルを下げることです。もう一つの側面が、AM技術サプライヤーを、それが最大の生産価値を発揮できる川下産業とつなげることです。私たちは特に、無人・自律機器、新エネルギー、ヒューマノイドロボティクス、AI、3C電子機器に強い可能性を見ており、当然ながら、これらのセクターがアジア全域でどう発展していくかを引き続き追っていきます。関わる企業とより緊密に協働し、新たな展示コンテンツ、テーマ別フォーラム、ビジネスマッチング活動などを通じて、彼らのニーズとアプリケーションをより多く本展に取り込んでいきたいと考えています。

そしてもう一つ、私たちが歩調を合わせていく必要があるのが市場のコンシューマーグレード側です。産業用アプリケーションは常に本展の中心であり続けますが、多くのスタートアップ、中小企業、起業家にとって、デスクトップ3Dプリンティングは今やAMという技術に初めて触れる入り口になっています。私たちはこの新しい世代のユーザーを本展に取り込み、フェア内により明確な居場所を用意したいと考えています。これは、コンシューマーグレードと産業側との間にもう一つの交流点を生み出し、私たちのフルバリューチェーンのアプローチが業界の発展をきちんと反映したものであり続けることを助けてくれます。

AM Insight Asia の視点

Louis氏の話から見えてくるのは、深センという都市単体の強みではなく、大湾区という「制度化されたサプライチェーン」の強さだ。9つの都市がインフラ、供給網、政策の3層で結びつき、それぞれが役割を分担している。広州は自動車・バイオメディシン・貿易、東莞は電子機器製造・部品・工具、仏山はロボティクスと設備製造、香港は貿易・金融・専門サービスの国際的な玄関口。この分業構造は、一企業や一都市の努力では再現できない。

これは単なる産業集積の話ではなく、国家戦略の設計力そのものが表れている事例とみる。AM関連企業が深センに拠点を置く合理性は、市場へのアクセスだけでなく、二時間圏内で調達・試作・量産の橋渡しができるという、資金効率の高さにある。同じ機能を再現するには、インフラ投資だけでは足りない。複数の行政区をまたいだ政策協調という、通常であれば何年もかかる制度設計が必要になる。それを国家主導で成し遂げてきたのが大湾区であり、この種の国家戦略は、他国が制度や資本を投じても簡単には模倣できないだろう。

興味深いのは、Formnext Asia Shenzhen自体も、この環境の変化に合わせて形を変え続けている点だ。2015年のAsiamoldでのAM初出展から、フリンジプログラムによる草の根の啓蒙、そして国際ネットワークの活用へと、展示会の役割は市場の成熟度に応じて変わってきた。Maker Dayやコンシューマーグレード向けの新セグメントの新設も、同じ流れの延長線上にある。

環境が変われば展示会そのものも変わる。この柔軟さこそが、大湾区、ひいては中国のAM市場が持つダイナミズムの表れだろう。固定された優位性に安住するのではなく、産業構造の変化を先取りして自らを更新し続ける姿勢が、今の成長を支えている。

この構造的な強さの上で、実際にどんな技術・トレンドが今、この場所で動いているのか。後編では、ヒューマノイドロボットやコンシューマーグレードAMの拡大など、Louis氏が語る中国AM業界の現在地と今後の展望に迫る。

Formnext Asia Shenzhen開催直前、主催者独占インタビュー 2/2 技術・トレンド編