卓上の金属3Dプリンターはここまでできるのか。パーツからジュエリーまで、会場で見た造形サンプル。銅合金にも対応
中国SnowXのデスクトップ向けSLM金属3Dプリンター「SnowPod」については、9月に掲載したプレスリリースで仕様を紹介した(前回記事)。2026年10月14〜16日に深圳で開かれたTCT Shenzhen 2026で、同社のブースは会期中ずっと人が途切れず、取材の撮影も絶えなかった。会場で最も人を集めたブースの一つだ。現時点でわかることはすでに書いており、記事にするか迷った。それでも、会場で見てきたクオリティをぜひ写真で見てもらいたいと思い、写真をメインにした記事を書くことにした。

造形チャンバーと、カートリッジで扱う粉末
SnowPodのビルドボリュームは80×80×100mm。扉の奥の造形チャンバーも、それに見合った小ささだ。

金属粉末はカートリッジ形式で販売され、機体にセットして使う。交換は手軽で、ユーザーが粉末を直接扱う場面を減らしている。

造形に必要な不活性ガス環境は、専用の窒素発生器NitroPodが供給する。会場ではSnowPodと並べて展示されていた。

1枚のプレートに詰め込まれた形状
造形したままのビルドプレートには、歯車、インペラー、ねじ部品、ラティス、薄いフィンが隙間なく並ぶ。


ボルトのねじ山、穴の開いた薄肉の壁、ラティスの細い梁。40μmのレーザースポットが狙う細部は、接写すると見えてくる。




関節ごと一体で造形された龍は、組み立てなしで動く。

研磨で表情が変わるジュエリーとフィギュア
リングやペンダント、フィギュアの展示では、造形したままの質感のものと鏡面に磨き上げたものが並び、後処理で仕上がりがどこまで変わるかを見比べられた。





ステンレス鋼に加え、銅合金にも対応
プレスリリースで示された対応材料は316Lステンレス鋼だったが、会場での説明によると、SnowPodは銅合金にも対応する。金色のリボン形リングは銅合金で造形したものだ。

SnowPathでのサポート生成
自社スライシングソフトSnowPathの画面では、モデルの形状に合わせて生成されたサポートを確認できた。


AM Insight Asia の視点
ブースには、工業部品のテストピースからジュエリーやフィギュアまでが並び、SnowPodが想定する使い手の幅を示していた。SnowXは用途にジュエリーやアート作品を挙げ、アーティストやデザイナー向けのコミュニティも準備している。銅合金への対応は、その幅をさらに広げるものだ。
ジュエリー制作では、樹脂で原型を造形し、ロストワックス鋳造を外部に委託して金属にする流れが一般的だ。デスクトップで直接金属を造形できれば、この外部委託の工程を飛ばせる。ジュエリー制作の分野では、SnowPodが競う相手は産業用SLMメーカーより、樹脂プリンターと鋳造サービスの組み合わせだ。
これまで樹脂の3Dプリンターを主な道具にしてきたクリエイターが、金属を扱い始める流れも見えてくる。その流れはまだ始まったばかりだ。世界中のクリエイターが作品で生計を立てることに苦労しており、アイデアやデザインを形にしても、それを実際の製品として売り出すまでには大きなハードルがあった。手元で金属の製品まで仕上げられるようになれば、そのハードルの一つが下がる。
工業での活用のしやすさも視野に入っている。ジグや、ロボット・ロボットアーム、ドローンのパーツなど、市販品では手に入らない特殊な金属パーツを使いやすくなるかもしれない。SnowX自身も、用途に機械部品やロボット部品を挙げている。
粉末をカートリッジで販売する方式は、粉末を扱う煩わしさをなくす試みであると同時に、本体を売った後も消耗品で収益を得る構造でもある。次の注目点は、Kickstarterで示される本体価格と、カートリッジ1本あたりの価格と造形できる量だ。その合計がクリエイターにとって外部委託より安く収まるかどうかが、普及の速さを決める。価格について公式発表はまだないが、X上ではKickstarterのキャンペーン価格が6,000ドルを下回るとの情報が出始めている。正式なアナウンスを待ちたい。
対象企業について
SnowXは中国江蘇省蘇州に拠点を置き、デスクトップ向けSLM金属3Dプリンター「SnowPod」、専用の窒素発生器「NitroPod」、スライシングソフト「SnowPath」を開発している。SnowPodは2026年第4四半期にKickstarterで立ち上げる予定。 ウェブサイト:snowx.com









