韓国船級(KR)、AM Solutionsの金属3Dプリント補修プロセスを認証 韓国で初の適用

8月 13, 2026

Representatives at the KR–AM Solutions certification ceremony hold the certificate | Photo: Korean Register

新造から補修へ、積層造形の応用範囲が拡大する意味とは

韓国船級(以降、KR)は7月28日、テジョン(大田)のAM Solutions社積層造形センターで、同社のレーザーワイヤー方向性エネルギー堆積(以降、LW-DED)方式による金属3Dプリント補修技術に対し、製造工程認証を授与した。既存の金属構造物の損傷部を積層造形で補修するプロセスにKRが安全性・信頼性を認証したのは、韓国国内で初めてとなる。新規部品の製造にとどまっていた積層造形の適用範囲が、造船・防衛分野の保守・整備・修理(以降、MRO)へと広がる一歩だ。

KRがAM Solutionsの補修プロセスに認証を授与

KRは7月29日、AM Solutionsに対しLW-DEDベースの積層造形補修技術の製造工程認証を授与したと発表した。認証授与式は7月28日、テジョンのAM Solutions積層造形センターで開催され、韓国海軍本部、KR、韓国生産技術研究院(KITECH)、大田市庁、テジョンテクノパークの関係者が出席した。

今回認証されたプロセスは、金属ワイヤーをレーザーで溶融し、損傷箇所にのみ選択的に積層する方式だ。部品全体を新規製作・交換する従来の方法とは異なり、損傷した部分だけを復元できるため、補修期間とコストの削減につながる。これにより、廃番や調達困難な部品の延命にも活用できるとされる。KRは、今後さまざまな産業分野での活用が期待されるとコメントしている。

この認証を主導したKR艦艇事業団長のキム・サンス氏は、「今回の認証は、積層造形で製作された部品の補修にとどまらず、既存の金属材料構造物にまで適用範囲を広げた点に意義がある」とし、「国防・造船分野で運用中の高付加価値装備・構造物の維持補修体系に、新たな代案を提示するものと期待している」と述べた。

背景には、国際船級協会連合(IACS)が2025年に策定した勧告No.186「海事・オフショア分野向け積層造形金属部品」がある。KRはこれを受けて自社の積層造形ガイドラインを改訂し、材料・工程・製品・製造方法にまたがる認証枠組みを整備してきた。今回の認証はその枠組みのもとで、新規製作だけでなく既存構造物の補修も対象に含めた点が特徴だ。

KRは1960年設立の非営利法人で、IACSの正会員(1988年加盟)であり、韓国を含む80以上の国から、船舶の法定検査・証書発行を代行する権限(Recognized Organization)を認められている。IACS加盟12社の合計船級トン数は世界の商船の90%以上を占める。

IACS認証の枠組みと、進むアジアの動き

船舶に対する積層造形の認証は、DNVが2018年にthyssenkrupp Marine Systemsへ世界初の「Approval of Manufacturer」証書を発行して以来、既に確立された分野だ。DNVの認証枠組みは新規製造と補修を明確に区分しているわけではなく、企業の製造工程・品質管理能力を包括的に承認する形を取っている。実際、DNVは基準の改定作業の中で、摩耗部品を積層造形で補修した場合と従来通り部品交換した場合の資源消費量を比較検証しており、補修という用途も基準開発の初期段階から視野に入れてきた。直近では、欧州のDEEP Manufacturing社がワイヤーアーク積層造形(WAAM)分野でDNVから完全な製造承認(Approval of Manufacture)を取得し、欧州で唯一の認定企業になっている。KRの今回の認証は、DNVをはじめとする船級協会によるAM認証の広がりの中に、韓国が本格的に合流したものと位置づけられる。KR自身は韓国国内で初めての事例と位置づけている。

同時に注目すべきは、日本でも同種の動きが進んでいることだ。廃番・長納期部品の金属AM補修を主軸事業とする日本企業プロメシアン株式会社(東京)は、2026年4月からDNVの工場認証(DNV-ST-B203 AMC1、SE-0568 Module B)取得プロセスを進めており、DNVによる現地監査は既に完了している。承認されれば日本初の事例になるという。

ここでAM Solutionsとプロメシアンの、認証への向き合い方の違いが浮かび上がる。AM Solutionsは、自国の船級協会(KR)から認証を受けるという、国内で完結する形を取った。一方のプロメシアンは、自国の船級協会(日本海事協会/ClassNK)ではなく、世界最大級のDNVの認証取得に向け最終調整を進めている。ClassNKも2021年に独自の積層造形ガイドラインを発表しており、AM認証の枠組み自体は既に持っている。プロメシアンがDNVを選んでいるのは、グローバルな認知・信用を優先した結果とみられる。

AM Insight Asia の視点

造船シェアで世界を二分する韓国と日本で、ほぼ同時期に「船舶に対する金属AM補修の第三者認証」という同じ課題への動きが見られる。これは、この分野が実験段階から実運用段階へ移りつつあるシグナルだとAMIAは見る。韓国ではAM Solutionsが自国の船級協会KRから認証を受け、日本ではプロメシアンが自国のClassNKではなくDNVの認証取得に向け最終調整を進めている。

重要なのは、両社が最初から見ている市場の範囲の違いだ。AM Solutionsは、これまで韓国海兵隊やK2戦車向けなど、国防・造船分野で韓国国内の実績を積み上げてきた。自国のKRから認証を受けることは、その実績を積んできた市場での信頼に直結する。一方のプロメシアンは、国内需要にとどまらず海外市場を最初から視野に入れており、だからこそ自国のClassNKではなく、グローバルに通用するDNVの認証取得に向け最終調整をあえて進めている。プロメシアンは、DNV本部を訪問した際の報告で「日本から世界へ向けた標準化プロジェクト」と自らの取り組みを位置づけており、国際標準化・海外展開を明確な目標に掲げている。つまり両社の認証への向き合い方の違いは、どちらが優れているかという問題ではなく、それぞれが最初から対象とする市場を国内に置くか、国際に置くかという戦略の違いに基づいている。

アジアの造船産業が置かれた状況の多様性が、それぞれの企業に異なる認証の選び方をさせている。造船で世界をリードする2カ国が、自国市場向けと世界市場向けというそれぞれの狙いのもとでこの分野に投資を始めたこと自体が、今後の展開を占う重要な材料になる。

対象企業について

AM Solutionsは、テジョンを拠点とする金属3Dプリンター・精密機械の製造、3Dプリンティングコンサルティングを手がける韓国企業。DED方式の金属積層造形技術をベースとしたスマート製造ソリューションを、防衛・航空宇宙・エネルギー・海事分野の顧客に提供している。同社は、韓国海兵隊兵站司令部に戦術移動型ロボット金属3Dプリンターを納入するなど、戦闘環境下での現地部品製造・補修インフラの構築に取り組んできた。AMIAは過去に、同社によるK2ブラックパンサー戦車のスノーパッド軽量化や、韓国海兵隊向けロボット型金属3Dプリントシステムの導入を報じている。

プロメシアンは、東京を拠点に、廃番・長納期・高コスト化した産業用金属部品や治工具、設備部品の補修・複製・リバースエンジニアリングを手がける日本企業。神奈川県藤沢市の藤沢工場を拠点にDED方式の金属AM補修事業を展開しており、2026年4月からDNVの工場認証(DNV-ST-B203 AMC1、SE-0568 Module B)取得プロセスを進めている。